第一印象の大切さ
人には必ず、自分が関係する相手との「最初の出会い」というものがあります。
恋愛関係、入試や就職の面接、ビジネスなど、自分の人生が左右されるような一大局面で第一印象が関係する場面もとっても多いですよね。
私のように病院で働く場合でも、患者さんのご協力が無ければ検査や治療を行うことができません。
良好な人間関係のためには、初対面での第一印象が非常に重要です。
第一印象が良くなければ「この人にまた会いたい」「これからこの人と一緒に仕事がしたい」とは思ってもらえませんし、ただでさえ痛い治療やきつい検査の後で、患者さんに余計に不快な思いをさせてしまうことになり、「あの人にはもう会いたくない」などのように思われてしまうことになります。
この記事では第一印象で相手に不快な思いをさせないために大切なことをお伝えしたいと思います。
第一印象とは、簡単に言うと「初対面の人に相手に与える印象」ということです。
初対面の人にあなたを印象づけるための情報として大きく影響するものは
・目で見てわかること(視覚的な情報)
・耳で聞いてわかること(聴覚的な情報)
主にこの2つの要素があり、これらが相手に心理的な効果をもたらして、あなたの第一印象が決まるのです。
ではこれらはどれくらいの時間で、どのように影響するのでしょうか?
「目は口ほどにものを言う」ー 非言語的コミュニケーションの重要性
言葉以外でのコミュニケーションのことを「非言語的コミュニケーション」といいます。
コミュニケーションには言葉が欠かせないことは当然のことですが、例えば同じ言葉一つ相手に伝える場合でも、明るい笑顔で伝える場合と不機嫌な表情で伝える場合とでは、後者の方では嫌味と受け取られるなど、表情や話し方次第で違う意味にとられる場合もありますよね。
言葉によるコミュニケーションの前に、相手が視覚的、あるいは聴覚的に感じたあなたの印象によって、既に非言語的コミュニケーションが始まっているといえます。
この非言語コミュニケーションがどれくらい重要なものであるか、以下の心理学的な法則や効果が参考になるでしょう。
メラビアンの法則
メラビアンの法則とは、人がコミュニケーションの際に相手から受け取る情報のうち、相手の目に映るあなたの
視覚的な情報から55%、聴覚的な情報から38%の情報を受け取るのに対して、話の内容そのものである言語情報からは、わずか7%の情報しか受け取らないといわれている心理法則です。
つまり、コミュニケーションにおいては言語的なコミュニケーションよりは、非言語的なコミュニケーションのほうが、相手により強い影響を与えるということになります。
初頭効果(Primacy Effect)
「第一印象として与えられた情報が印象に残って長期記憶に引き継がれ、後の評価に影響を及ぼす現象」を初頭効果(Primacy Effect)といいます。
第一印象が良くない場合、相手と長期間わたる関係性を持てたとしても、その影響がずっと後を引く恐れがあるということになります。
あなたの第一印象は大丈夫?第一印象が良くない人の特徴
自分では気づいていなかったり、そのつもりはなくても、知らないうちに相手に良くない印象を与えてしまうのは
避けたいですよね。
相手と会話をする場面で「自分が相手からされたら嫌だ」と感じることはしないようにするということが基本になりますが、以下のような内容に当てはまらないかを自分でチェックしてみましょう!
見た目の印象が良くない人
1.身だしなみ,TPOに合わない服装やメイク
寝グセのついた髪型や、ヨレヨレのシャツ、ネクタイのズレなどの身だしなみが整っていなければだらしない印象を与えてしまいます。
太りすぎの体形は、もちろん病気などのやむを得ない事情や、芸能人のセールスポイントであったりする場合もありますが、
そのような特殊な事情を除くと「自己管理ができていない」と捉えられるのが一般的で、良い印象を与えることはありません。
フォーマルな場に派手な服装で参加するなど、場にそぐわない服装は、相手に良くない印象を与えてしまいます。
逆にカジュアルな場にガッチガチのフォーマルな服装で居合わせることも、固い印象を与える恐れがありますので注意が必要です。
女性のメイクについても、TPOに合っていないメイクは良い印象を与えにくいでしょう。
2.顔の表情,目線
表情が暗いと相手に「機嫌が悪い」とか「怖い」と思われてしまいます。
相手を受け入れていないという印象を与えてしまいますので、注意しましょう。
また、緊張や恥ずかしさから、話をするときに相手と目線をあわせられないこともあると思いますが、ずっと伏し目がちだと悪い印象を与えてしまいますし、逆に目線を終始相手に向けたまま、決してそらさないということも、相手に威圧感を与えてしまうなど、あまり印象は良くありません。
極端に目線を合わせなかったり、合わせすぎるのも注意が必要です。
3.姿勢や態度
相手が話している場面で、顔だけ相手の方を向き、身体は違う方向を向いている。
相手の話を聞きながら腕組みをする。ということも、良い印象を与えることはまずありません。
話し方の印象が良くない人
1.声のトーン,口調
声のトーンとは、話すときの声の高さ・低さ、話すスピードや声の大きさの事を指しますが、早口すぎると何を話しているのか、相手に聞き取ってもらいにくくなりますし、不必要に声を大きくするのは、相手に威圧感を与えてしまうため、注意が必要です。
ビジネスや面接といった場面では、明るくハキハキと話すことが望ましいですが、耳が遠いお年寄りに話しかけるという場面では声を低めに大きく、ゆっくりと話すと聞こえやすくなるなど、場面に応じて使い分けることも必要です。
2.言葉遣い,不必要な言葉
初対面なのになれなれしい話し方をすると、不真面目で不誠実な印象を相手に与えかねません。
過度に話にあいづちを打ったりすると、話をきちんと聞いてくれていないという印象を相手に与えてしまいます。
また初対面に限らず、友人同士の会話でも「ていうか」「みたいな」など、不必要な言葉を多用すると、その言葉だけが強調されて相手の注意を引いてしまい、話の内容が相手に伝わりにくくなるだけでなく、耳障りな印象を与えてしまうでしょう。
見た目,話し方以外で印象の良くない人
視覚的、聴覚的な要素以外にも、相手の嗅覚に届く要素もあります。
1.体臭,過度な香水
自分ではなかなか気づけないのが体臭です。
体臭がするだけで相手を不快にさせ、身だしなみが整っていないと思われてしまいますので、普段から体臭を発生させる要素はこまめに取り除くことが大切です。
香水は好みに左右されるものですから、自分では良いと思っていても、相手の好みでない場合は、鼻をつく不快な刺激にしかなりませんので、過度につけすぎるのは禁物です。
2.お弁当
お弁当のおかずによっては、香りの強いものもあります。
食の好みも人によってさまざまですから、好みに合うものは食欲をそそる美味しそうな香りであっても、好みに合わないものは不快な印象を与えてしまいますので、注意が必要です。
これで大丈夫!第一印象を良くする方法
色々な業界で求められる印象が違ったり、同じものを身に着けていても、時と場合によっては相手に与える印象が変わることもあります。
たとえば、ファッションや美容の業界であれば、あまりにもフォーマルな服装では物足りなさを感じさせるでしょうし、企業の就職面接の場に臨むのに、求められないおしゃれに全力を注いでも、場違いな印象を与えてしまう結果になってしまいます。
ここではそれぞれの業界で求められる細かい印象のことではなく、ごく一般的なレベルでの方法についてお伝えします。
見た目の印象
1.服装
身に着けるものの値段は気にする必要はありません。
それよりは「シャツがシワシワになっていないか」「ボタンが取れていないか」「糸がほつれていないか」ということに気を配るほうが良いでしょう。
2.身だしなみ
髪型はきちんと整っているか。
鼻毛が見えていないか。
ひげは無精ひげではないか。
ひげはきちんと剃っておくことを求められることもあります。
清潔感が感じられ、相手に不快な印象を与えないように整えておきましょう。
3.顔の表情
口元は、軽く微笑むようなイメージで口角を上げましょう。
これは相手に良い印象を与えるだけでなく、自分自身も気持ちが落ち着いてリラックスできる効果があるといわれています。
眉間にしわを寄せないように、おでこを軽く上に引っ張り上げるようなイメージで、目を軽く見開くようにしましょう。
最近ではマスクをつけて人に会う機会がほとんどですので、口元の印象が伝わりにくい分、目元の表情が特に重要になってきています。
相手の話すことに、アイコンタクトであいづちを打つようにすると、相手の言うことを傾聴しているということがきちんと伝わるでしょう。
だからと言って目元に不必要に気を遣いすぎず、あくまでも自然な感じを与えるようにしましょう。
4.態度・姿勢
背筋を伸ばして、胸を張りましょう。それだけで自信にあふれているような清々しい印象を与えることができます。
座っている時は手は太ももの上に置きます。
相手の言うことを聞くときは、相手の目を見て時折軽くうなずくと「あなたの言うことにしっかりと耳を傾けていますよ」という印象が伝わります。
恥ずかしくて目をずっと見ていられないという方は、少し目線を下にずらして相手の鼻のあたりを見ると良いでしょう。
話し方の印象
1.あいさつ
まわりの人に十分聞こえるくらいの大きさで、元気よく笑顔で挨拶をしましょう。
声の大きさも重要ですが、明るくハキハキとした口調であいさつをすることがより重要です。
また、あいさつは自分からしましょう。そして相手からのあいさつにもしっかりと応えましょう。、
しっかりと相手の顔のほうへ笑顔を向け、表情を意識して、軽く会釈をすると、「あなたを意識していますよ」ということを相手にしっかりと伝えることができます。
2.言葉遣い
「言葉」はあなたが心の中で思っていることを相手に伝えるための重要な手段の一つです。
あなたが緊張している状況で相手と話をしなければならない場面でも、無理に難しい言葉を選ぶよりは、素直にわかりやすい言葉を用いる方が、より自分らしさを伝えることができます。
状況に応じて正しい言葉づかいを意識することも必要ですが、「文法的に正しい」ということを意識しすぎて、言葉遣いに対してハードルが上がってしまうと、逆効果になることもあります。
文法的なことも重要ですが、そちらを気にしすぎるよりは、多少間違っていたとしても、相手に与える印象の方を意識する方が良いでしょう。
これは私もやっていることですが、「相手から自分に向けて発せられた言葉で、自分はどんな印象を受けたか?」を普段から意識して、良いと思ったことを真似して取り入れてみる。というのはおススメです。
まとめ
・第一印象で相手に与える影響として、視覚的情報がもっとも大きい。
・第一印象をつくりあげる要因は、視覚的情報と聴覚的情報の2つで9割以上を占める。
・相手に出会ってすぐや、別れ際の印象が最も印象に残りやすい。
・視覚的情報、聴覚的情報のだけではなく、相手の嗅覚に与える印象も重要。
・普段から自分が相手からどんな印象を受けているかを意識して、取り入れていくと良い。
いかがでしたか?
この記事でお伝えしてきたことは、相手に対して自分の印象を悪くしないためのコツのようなものですから、誰でも身につけることができます。
相手に対して自分をよく見せることを意識しすぎると、緊張して逆効果になることが多いです。
初対面の相手は、あなたがどんな人なのかを知りたがっています。
本来のあなたは、あなたの人生の1日、1日の積み重ねによってできたものですから、背伸びをせず素直にありのままの自分を見てもらいたいですね。
以上「第一印象が人間関係に与える影響」についてお伝えしました。
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